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コラム

「愛」パート2-私の好きな詩(弁護士 松田 幸子)
 前々回は,法には「愛」があると言うテーマでした。
 東日本大震災のあと人と人の絆の大切さが改めて見直されています。それまで当たり前だと思っていたもののかけがえのなさを失ってみて初めて分かるというのが人間の悲しさでしょうか。
 最近尊敬していた弁護士のの訃報に接しました。その生き方は一貫して「人間愛」にあふれたエネルギッシュなものでした。
 誰にでもあるはずの「人間愛」を見失わないために何が大事なのか思い出させてくれる好きな詩があります。

汲む ーY・Yにー        茨木のり子

大人になるというのは
すれっからしになることだと
思いこんでいた少女の頃
立居振舞の美しい
発音の正確な
素敵な女の人に会いました
そのひとは私の背のびを見すかしたように
なにげない話に言いました

初々しさが大切なの
人に対しても世の中に対しても
人を人とも思わなくなったとき
堕落が始まるのね 堕ちていくのを
隠そうとしても 隠せなくなった人を何人も見ました

私はどきんとし
そして深く悟りました

おとなになってもどぎまぎしたっていいんだな
ぎこちない挨拶 醜く赤くなる
失語症 なめらかでないしぐさ
子供の悪態にさえ傷ついてしまう
頼りない生牡蠣のような感受性
それらを鍛える必要は少しもなかったのだな
年老いても咲きたての薔薇 柔らかく
外にむかってひらかれるのこそ難しい
あらゆる仕事
すべてのいい仕事の核には
震える弱いアンテナが隠されている きっと・・・・
私もかつてのあの人と同じくらいの年になりました
たちかえり
今もときどきその意味を
ひっそり汲むことがあるのです

 自分にまだ「震える弱いアンテナ」が残っているのか,「ぱさぱさに乾いていく心」 しか残っていないのではないか,「みずから水やりを怠って」いるのではないか,ふと 自問自答します。
  心豊かに人間らしく生きるためには,「震える弱いアンテナ」を守るだけの「しなや かな強さ」が必要なのかもしれません。

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