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コラム


事務所便り(宮崎事務所事務局)
 散 歩

 とりわけ長〜く感じた今年の梅雨,空けたとたん連日の猛暑にもうげんなりとしているこの頃,健康のためにと徒歩通勤を続けている同僚に刺激され,自分も休日くらい歩かなくてはと思うものの,何だかんだと言い訳をつくってきました。若かりし頃はそれなりに頑張った時期もあったことが災いし,歩くからにはと身体と相談することもなく早足で格好つけたりしたせいで,これまで何度も膝が悲鳴を上げる状態が続きました。
 しかし,先日,久しぶりにスニーカーをはく気分になりました。それは休日でも朝早く目が覚めてしまい覚めたらもう眠れない悲しさ,天気の良さそうな気配,そして,家から2キロほど先にある石窯焼きが看板のパン屋さんでモーニングをとろうという考えが浮かんだことにあります。
 朝7時の開店をめざしてゆっくりと歩き出しました。そこまでの道,普段は通勤通学の自転車と多くの人が散歩をしているコースなのですが休日の朝とあってか人影もまばら,早足で歩こうという競争心もわきません。
 コースの両脇にあるツツジの埋め込みにクモの巣に似たモコモコができていてそこに朝露が光っています。秋頃まで休日だけでも散歩を続ければもう少したくさんの朝露や季節の変化に出会えるのかも知れません。
 ふと,そういえばこの季節,この一画に1センチほどの淡いピンクに花をつける蔓状の草花があり,それを朝の散歩で見つけた亡夫が一枝折ってきて花瓶にさしてくれたことを思い出しました。みずみずしい葉っぱとともに本当に愛らしく,夏の間,何度か摘んできては部屋の片隅で癒やしを与えてくれていました。
 その花にはもう一つのエピソードがありました。4〜5年前の夏,私は原因不明の高熱で2週間ほど入院したことがあり,そのとき主治医の他に研修医の先生が担当医としてついてくださいました。入院も10日を過ぎだいぶ楽にになった夜,いつものように部屋に立寄られた研修医の先生は世間話も交えつつ「水分もとってくださいね」,「はい」といって出て行かれました。しばらくするとカーテン越しに「・・・・さん」と呼ぶ小さな声がし,ペットボトルを1本差し出されたのです。一日の疲れがたまっているはずなのに,わざわざ下までおりて持ってきてくださったその思いがけない行為がとても嬉しく今でも印象深く覚えています。
 何かお礼の気持ちを伝えたいけれども,入院中の自分にできることは何よりも早く元気になることしかありません。
 ちょうどその頃,亡夫が病室に飾ってくれていたピンクの花がありました。ベッドに横たわって飲み終えたボトルに何気なく目をやると,透きとおったボトルに高ニピンクの花の色が涼しげに映ったのです。そこで,入院中の身ではあるけれど,押花にすることはできるかもしれない,それでボトルを飾ったらどうだろうと考えました。4〜5日かけて何とかそれらしく仕上がった押花ボトルは小学生の夏休みの作品にも及ばないものでしたが,退院前夜,何とか間に合わすことができたのでした。その「作品」に日付と私の名前も入れてほしいとリクエストいただき,後で考えれば全く恥ずかしいことをしでかしたものです。

 この数年,雑草の刈り取りが根こそぎ行われたのかあの淡いピンクの花を見ることができないのが残念です。「この花はホントかわいらしいですがなあ」と話しかけてこられた初対面のおじいちゃんがいましたが,お元気でしょうか。

 たわいない思い出にひたりながらパン屋さんのベンチでいただいたサンドイッチとセルフサービスのコーヒーは,なかなかおいしいものでした。

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